ROLLY ブースタ
2014~2023年製作
https://gyazo.com/69d9a9d4bf71f934d4f4015b4d5875fa https://gyazo.com/eb9c74c83219947e0d49562fe120b367
https://gyazo.com/03aab404257f83844ef4a3dd1f3382ee 箱入れしました.タカチ MB6-5-9ケース 電源は外部のみ,On/Offスイッチは無しです.昨今のエフェクトボード事情に鑑みて,ボードに電源やエフェクトループスイッチャを期待しています.
その1
ブースタの製作にとりかかりました。
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写真からお分かりのように、部品の向きを示すシルク印刷がなされているものの部品番号や部品定数は印刷されていません。これはおそらく、書籍を見て配線をしっかりと確認しながら作るようにという考えの表れではないかと思います。
そもそも『ROLLYと作るギターエフェクター』書籍自体が「万能基板(蛇の目基板)で作りましょう」という調子なわけなので、キット的にさくさく作って完成品を求めるというよりも、回路と基板と配線を把握してわかりながら作るという上で、良い教材だと思います。 さて、このブースタの回路はどういうものか。
平たく言えば741での反転増幅回路です。電源の中点電位を仮想的なGNDに置いて、回路の前後をコンデンサで切っています。入力抵抗(R2=9.1kΩ)があって、帰還抵抗は1uF(C4)と10k(R7)と1MΩ VR(Bカーブ, VR1)をシリーズにしたところに1MΩ(R6)をパラっています。
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アンプ部分のゲインはC4を無視して考えると、
$ G = - \frac{(R_7+VR_1)//R_6}{R_2}
ということになりましょうか。R2に10kΩじゃなくて9.1kΩを選択したのは、VR1を絞りきっても1倍よりは小さくならないようにということかしら。
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そうこうしているうちに部品が全部載りました。このあと μA741 を載せて、VR1の配線を行っています。
ところで、もともとの記事ではDCカットのコンデンサも帰還のコンデンサも1uFの積層セラミックになっていましたが、個人的に思うところあって、DCカッターには1uFタンタル、帰還のところには470nFのマイラを2個パラって使いました。マイラ2個パラの関係で裏面にも部品があります↓
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さてさて、基板が完成しました。我が家の常備部品だけで組めてしまいました(抵抗はすべて金属皮膜な上に、コンデンサは置き換えたけれども)!
電源、グラウンド、入出力にチェックピンを立てています。このあとバラックで実験してみることにしましょう。
その2
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左上から、電源、オシロスコープ、ミリボルトメータ。下に移って左から発振器(秋月で買った、黒い)、ブースタ基板(小さい、赤い)となります。こんな陣容で実験しようと思っていました。最初は。
この構成で予備実験していたんですが、発振器の振幅が0.1Vまでしか絞れないようでした。使い方を間違っている可能性ありようするにこのブースタのゲインを上げるとクリップするわけです。
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前回大雑把にゲインを見積もりました。
平たく言えば741での反転増幅回路です。電源の中点電位を仮想的なGNDに置いて、回路の前後をコンデンサで切っています。入力抵抗(R2=9.1kΩ)があって、帰還抵抗は1uF(C4)と10k(R7)と1MΩ VR(Bカーブ, VR1)をシリーズにしたところに1MΩ(R6)をパラっています。
アンプ部分のゲインはC4を無視して考えると、
$ G = - \frac{(R_7+VR_1)//R_6}{R_2}
今回発振器でf=1kHzの正弦波を与えます。ということでC4を無視しないでゲインを考えると、
$ G = - \frac{(\frac{1}{2 \pi f C_4}+R_7+VR_1)//R_6}{R_2}
C4項のインピーダンスは159Ωぐらい、と、小さいけれどいちおう加味して、VR1に応じて以下のようなゲインが得られる計算。
table:ゲイン表
帰還抵抗全体 ゲイン ゲイン(dB)
VR1を絞りきった時 10.1kΩぐらい 1.11倍 +0.91dB
VR1が半分ぐらいの時 338kΩぐらい 37.1倍 +31.4dB
VR1を全開にした時 503kΩぐらい 55.3倍 +34.9dB
10mVrmsの1kHz正弦波を入力して、出力波形をオシロで測ってみると以下のような計測結果になりました。VR1が全開の状態です。
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551mVrmsとあります(右側枠外、上から2番めの計測結果)。だいたい合ってる!
551mVrmsというのは実効値です。正弦波の谷から山までの電位差では1.56V peak-to-peakぐらいになります((オシロの波形も 1div.あたり500mVのレンジなので、だいたいそれぐらいになっていますね))。それなら100mVrmsを入力して34.9dBアンプるとどうなるか、5.53Vrms→15.6V peak-to-peakという計算になりますが、このブースタの電源は一番低くて0V、一番高いところで9Vしか供給されていないために、原理的にこれよりも高い電圧に到達することができず、信号はクリップすることになります。もっと言えばICの中でも電圧配分予算を食うので、実際にはさらに低い電圧でクリップすることになります。
クリップするさまも写真に撮って載せたいところですが、今日はここまで。
その3
ブースタの続きです。
一週間の間をおいたら、ブースタが動かなくなっていました。というか、9V電源のフューズが飛んじゃう! いろいろ調べたところ、中点電圧(バイアス)を抵抗分圧で作っていて、そこに入れた電源デカップリングコンデンサが悪かったようです。取り外したら電源のフューズが飛ぶことはなくなりました。取り外したコンデンサを手持ちのLCRメータで測ったら、容量は正しく1uFと出たのだけど… いずれにしても電源のデカップリングにタンタルコンデンサは避けたほうが良いと思いました。あるいはよっぽど理解して使うか。 さて、クリップするさまの波形を撮ってきました。
正弦波 100mVrmsを入力しています。このブースタのゲインは最高で34.9dBなので、100mVrmsを入力してゲインを上げていくと電源電圧レールとかにぶつかってクリップしちゃうのでは、という話を前回書きました。
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↑ゲインを一番絞るとこんな感じ。このオシロスコープのこのレンジだとトリガがかからなかったので波形を止めて表示したものを撮影しています。
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↑少しゲインをあげます。正弦波が保たれていますね。
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↑さらにゲインを上げると、正弦波の下のほうがクリップし始めます。
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↑もっともっとゲインを上げてみると、上もクリップしてしまうことがわかります。
上下非対称になるのは、uA741 の内部回路に依るものでしょう。別のオペアンプにするとクリップの位置は変わると思います。
このブースタでクリップしないで使えているレンジは、写真のCursor2から出力が、2.72V×2(peak-to-peak)→ 1.92Vrms → 7.88dBu までの範囲ということになります。
このように入力信号強度とゲイン設定によってはブースタ内部で歪むこともありますので、最終的にアンプで歪ませたい場合には設定に気を遣うのが良さそうですね。
https://gyazo.com/3eed23abc479632c2fc472ac99b7181e
製作メモ (兼 更新日記)
(2017/10/17) Scrapbox移動
2023/8/21 箱入れ完了